クロダイ、イシダイの前打ちでの釣り方

1匹でも多く釣るための卓上フィッシング

 

第1章 シーズン別のフィールド選びと海況判断

 

第2章 エサ選び、エサ使いのコツ

 

第3章 誘いについて

 

第4章 オモリについて

1匹でも多く釣るための卓上フィッシング

 

第1章 シーズン別のフィールド選びと海況判断

 

冬季

 昔からクロダイは年中沿岸に居る魚と言われていた。しかし、これは釣りを対象として考えた場合、その釣り人の射程範囲内に居るかどうかで「クロダイ釣り」そのものが成り立たなくなる場合も起こってくる。 もちろん、射程範囲の違いは釣況によって大きく異なり、「磯」、「筏」、「堤防」、「船」など各ジャンルによって、その釣りのべストシーズンにもズレが起こるようだ。
 冬季はフロック的要素の多い季節だが、条件を満たすフィールドであれば確率は在る。もし、すべての釣法を極めた釣り人がいたとすれば、その人はきっと年中間断なく釣果を得ることができるだろう。事実、一般に釣れないとされる冬にも、磯や一部の堤防、また筏などでは十分に釣れる。ただし、名古屋約法を前提として考えると、どうしても冬は「コタツの中で」となってしまいがち。だが、他の釣法で釣れている事実と、それが名古屋釣法の射程範囲内で釣り可能であるかどうかによっては、冬でもクロダイを狙うことはできるのだ。

 では冬に名古屋釣法で釣果を得ることが可能なのは、どんなフィールドなのかを考えてみる。
1.他の釣法にて実績のあるフィールドで水深はそこそこある
2.盛期にはよく釣れているフィールド
3.温排水の影響のあるプィールド
 大きく考え、以上3点のうちひとつでも満たすことのできるフィールドでは、冬でもクロダイが釣れる可能性を秘めている。 もう少し細かく説明すると、1はそのフィールドにはクロダイがいることが前提となっており、間題はそのクロダイがどんな釣法によって釣られているかである。磯釣りスタイルや紀州釣りで、しかもポイントが近ければ可能性はあるが、ブッコミ釣りや沖の符約りでは考え直した方が賢明であろう。 ただし、名古屋釣法と比較して、磯や紀州釣りではコマセやダンゴにより人工的にクロダイの食い気を促す約法である。また、エサも異なり特にこの時期はオキアミやポケなどが中心となる。基本的にはナチュラルをモットーとする名古屋約法ではあるが、それはあくまで個人の主観中心のセオリーであり、濁りの出難いこの時期は固定概念は捨てた方がよい。マキエや、刺しエサをダンゴに包んで落し込むなんてのも大いに有効と思われる。 よくマキエは名古屋約法に関して御法度などという人もいるが、そんなことを言っても釣りたい気持ちの方が優先してしまうのが釣り人だと思う。そして、これこそ前記釣法と共存する手段のひとつなのである。 よって冬の主役となるフィールドのひとつは磯型堤防と言えるのではないだろうか。
 一方、2はコマセなど必要としないフィールドである。どこでも居着きのクロダイは存在するが、盛期によく釣れるフィールドは居着くクロダイの数も多いと思ってよいだろう。 ただし、ある程度水深がないと冬場の季節風による水温変動に耐えきれず、居着くクロダイは少ないようだ。急なカケアガリでもあり、クロダイが退避できる環境が重要だ。そこを重点的に攻めるのもよいだろう。
 3は言わずと知れた冬の定番フィールドで、真冬でも周辺の海域より水温が高く、当然他魚にもれずクロダイも集まり、時には最盛期並みの釣果も期待できる。規模の大きな港には、たいがいそんなフィールドがある。
 いずれにしても、冬は名古屋釣法のシーズンオフである。フロック的な要素の多い釣りとなるのは必至。 予備知識程度に思っていただければ幸いである。

 

乗っ込みシーズン

 クロダイの乗っ込みは春が定説ではあるが、2月頃から姿を現わすところもある。2月といえば、まだ真冬真盛りである。 フィールドによっては長くて3カ月ほどの差が出るが、それぞれのフィールドでの乗っ込みのピーク は約1ヶ月が平均的で、短いフィールドではひと潮なんてこともある。これらのことを情報として逆に利用し、うまくすれば3〜4ヶ月のピークを楽しむことができるわけである。
 フィールドとしては平場の堤防、石積み、テトラなどが一般的であるが、それらの中でもテトラが有利かも。それは何故かを考えてみる。
 クロダイを釣る場合、各フィールドの立地条件と釣り人のスタイルがべストマッチした時によい釣果が得られる。名古屋釣法の場合、スタイルはボタ釣り前打ちに大きく分けることができるが、いくら乗っ込みのピーク時とはいえ、海況の悪い日には食いも悪いものだ。海はべタナギ、潮はスケスケなんて日には、石積みやポタではあまりパッとしない時の方が多い。しかし、テトラは魚がいち早く隠れる事ができるので、海況の違いによって釣り方をかえることにより対処がしやすい。潮りや波気のある、いわゆる好条件時は言うまでもなく、前記のような悪条件時でもテトラの影や深い穴を探ることによりアタリを出しやすいのだ。 ただしパラシが多くなるのが難点である。特に深い穴で掛けた大型は取れる確率がきわめて低い。
 乗っ込みは群れの接岸ということを考えれば、その群れの捕食場としての石積みも捨て難い。平均して石積みは、前打ちで攻める場合水深があまりないため、よい釣果を得るためには濁り、波気が必要絶対条件となる。また、そのような観点から考えても、夜釣りの方がよい釣果に恵まれやすいフィールドだ。

 

梅雨シーズン

 乗っ込みのピークが去ると梅雨の到来である。この季節は、大量の雨による河川増水で海況は一変する。 毎年乗っ込み後(名古屋港では5月)はクロダイの食いが急減するが、ひと月も経てば再度食い出すものだ。 ところがそれが梅雨の入水により再度悪くなることがある。それはどうもその年の雨量に関係するようで、カラス貝の付きと落ちにも関係し、そしてそれはその後の最盛期にも影響する最重要要素なのだ。
 雨が多いといわゆる水潮と言われ、海の水温および塩分濃度が安定せず (そのような海流はきまって 釣り場のポイントにぶつかる)、クロダイはより自分の好む海域に身を潜める結果、食いが落ちると思われる。 いずれにしても急激な変化はよくないようだ。しかし梅雨の雨量は少ないよりは多いにこしたことはない。それはその後に影響が出るからだ。この梅雨時期の傾向はスポット的な問題であり、雨の河川による海への影響は海の生物を活性づける条件のひとつだからだ。
 クロダイ釣りのフィールド選定に河川の有無は重要視されてきたが、以上の理由によってその年の雨量により、多い年は逆に河川より離れたフィー ルドを選ぶ。 ポイントが河川に対してどちら側にあるかも重要な間題となる。その日の風向きによって上層の水潮が流される方向が決まるし、その日の潮にも影響する。上げ潮はどちらから流れるか? また下げ潮は? 選定するフィールドの情報は常に持っていたいものである。

 

最盛期

 梅雨が明けると太平洋高気圧の影響で海風の吹く日が多くなるため、特に太平洋側のフィールドは揃って好条件の日が多くなる。乗っ込み時以来ポッポツだった親も再び活発に食い出し最盛期に突入する。この時期は雨後の濁りの入った時もよいが、むしろ雨前の方がよく釣れることが多い。それは、雨後はたいてい北西風が吹き、海水の上層水温が低下するためかもしれない。水温上昇は気温の上昇より遅れるのが定説であり、6〜7月の海中は地上の気候に当てはめればまだ5〜6月だろう。雨前に吹く南寄りの風の方が好影響をもたらすことは言うまでもない。
 

真夏の決め手は濁りと風向き。 あまり神経質に考える必要はなし

 真夏になれば、前記の傾向に当てはまらない場合もより多くなる。それはクロダイの体調によるものだと考える。無事産卵を終え、たらふく食って落ちに備えるクロダイは、この時期より一層食欲旺盛になり気力、体力ともに充実してくることだろう。多少の水温差、塩分濃度差などまるでおかまいなく餌付くクロダイも多くなるはずだ。台風シーズンでもあり、雨のもたらす好影響が特出してくるため、フィールド選定には河川の有無が最重要視される。石積み、堤防、テトラなど代表的フィールドでは水深の影響はほとんどなく、濁りと風向きにもっとも釣果を左右されるシーズンだ。水温も上昇のピークを迎えるので湾内の奥まったフィールドでは水質悪化のため食い渋ることもあるが、潮通しのよいフィールドではそんなこともない。特に台風を含む低気圧の通過前後はよく食い立ち、思わぬところで爆釣などということもよく起こる。低気圧は潮位を一層高くしてくれるので、満潮ジアイが長くなる事も考えられる。

 

濁りの質を見極めることが大事

 濁りはクロダイ釣りの最重要条件であり、これがないとクロダイはウジャウジャ見えているのにまったく釣れないこともある。しかし、ただ単に濁りと言っても色々で、
1.河川によるもの
2.海に直接降る雨によるもの
3.波気、ウネリによるもの
4.潮色
 以上、最低でも4つに分けて考えることができる この時期から秋にかけては、最盛期たるが故、即約果に影響するものばかりだが、1は雨により増水した河川が土砂を含む水を流出するため海が濁り透明度はほとんどない。そして、この濁りの帯はやがてフィールドを取り巻くことになる。通常の水量による潮りは2に近い。
 2はササ濁りとも言われ、透明度はややあるが底が確認できないほどの濁り。雨が海面を叩くのでザワつきこれがより一層の好条件を魔し出す。 今日は雨だから釣りは中止なんて釣り人は考えられない。
 3はテトラや石積みなどでよく発生する濁りで、波の力により石やテトラの底部堆積物が舞い上がって起きるもの。消波の度合によりスポット的に発生することも多く、まさにその場所が好ポイントとなる。当然、波気のザワつきはプラスとなる。
 4は潮流によっても流れつくものであり、その濁りの発生原因次第で食いは異なってくる。赤潮、青潮や苦潮(風により海底から巻き上げられる無酸素水帯)、また外洋の堤防でよく発生する海中が黒っぽい潮などの時は、クロダイの食いは落ちると判断してよい。付け加えるならば、もうひとつ、 都市近郊の堤防に多い生活排水、および工場排水による透明度の低さも濁りとみることができる。何を隠そう、これはクロダイの食い気を最初に促した名古屋釣法誕生の源である。
 以上、潮りにも色々とあることはお分かりいただけたと思うが、まとれば1〜3は好条件をつくり出し、4は最悪の場合があるということ (1でも潮り過ぎの場合や、3のウネリが大き過ぎる場合は×過ぎたるは及ばざるが如し。 フィールドで濁りの質をいち早く判断することも、釣り場移動の手段として大切なのである。

 

前半は盛期の延長と考え、 晩秋は落ちの通り道を狙い打つ


 秋はアッという間に過ぎ去ってし まう。クロダイ釣りでも同様で、ついこの間までよく食っていたのにすぐに釣れなくなってしまう。クロダイは落ち出したら加速度がつき、ひと潮で釣れなくなることもあるほどで、特に水深のないフィー ルドではこの現象が顕著に現われる。 しかしながら、昔から落ちの荒食いと言われるように9〜10月にかけバタバタと釣れることもある。これは落ちのための食溜めなどと言われているが、その活動は実際には盛期の7〜8月から起こっているものと思われる。なぜなら、9〜10月といえど極端に水温が低下するわけではなく、最盛期の好条件時、よく釣れる状態の延長と考えるのが自然なような気がするからだ。さて間題はフィールド選びである。盛期にはどこでも釣れたクロダイも、忍び寄る冬の足音を少しずつ感じているのは確かである。先にも述べたが、水深のないところほど早く釣れなくなってくることは常識として、私は次の2点を考慮する。
1.盛期に爆約したフィールド
2.急なカケアガリのあるフィールド
 1は盛期の延長として釣れる可能性が高いと判断するからだ。また、クロダイが多くいた事実は、居着きがより多く存在する可能性へと繋がってくる。ましてや暖冬の年ともなると、12月からさらに年を越しても釣れるフィールドすらあるほどだ (三軒屋テトラや知多堤など実績あり)。 もちろん、居着きクロダイの数と水温の低下状態が関係してくるため、これらは常に正確な情報と実績により把握する必要がある。
  一方2は冬のフィールド選定にも共通することだが、カケアガリはクロダイの落ち場への通り道と考えれば、ジアイには食う可能性が高い。垂直構造の堤防もポタをカケアガリとみることができ、水深がある程度あれば堤際はポタ底まで同様に考えることができる。
 名古屋釣法は攻めの釣りと言われるが、なにぶんこの時期はクロダイの絶対数が少ないので、以上のようなフィールドでポイントを絞り、待ち伏せするのもひとつの手である。

 

  以上、四季を通じたフィールド選定の基礎知識として当会なりに解説してみたが、年中クロダイを釣っている人や、盛期に大漁を繰り返している人は、このようなことは当たり前としてより突っ込んだ考えに基づき釣り場を選ぶ。また、情報量も多いものである。 この時期はあそこでどんなサイズがよく釣れるとか、ここはこれからどんな時によく食い立つかなど、とにかく情報と実績が多いものである。 よい情報をつかんだらとにかく釣行し、その情報を自分の実績とすることが重要だ。実際には、どんなによく釣れている情報を入手しても、ただ釣行すれば同じように釣れるとは限らず、エサの選択や釣り方、タックルバランスなどが複雑に絡み合い、釣果に差が出ることが多い。次章は、これらのひとつひとつを解説してみる。

2017年11月

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第2章 エサ選び、エサ使いのコツ

 

 クロダイを釣るためにエサを選ぶ場合、およそ考えられるすべてのエサが対象となる。オールシーズン、そして昼夜の区別なくクロダイを追い求めているとより一層このことに気が付く。そして、時期および時間帯によって、このエサより今はコレが良い、夜が明けたらコレが一番といったような傾向があることを体験するものだ。ところで、私はエサ選びの時、いつも2とおりの考えを持つ。まずひとつはこのエサで必ず食うと思うこと。そしてもうひとつは、AよりBの方が良く食いそうだと思うことである。
 前者は単なる「こだわり」であり、その信念は過去の実績により一応揺るぎないものとなっている。しかし、現実はそれほど甘くなく、その信念を崩さざる負えないような場合も起きるのが釣りの世界だ。「なぜ今日はこのエサで食わないのだろう?」などという経験は必ず誰でも持っているものだと思う。そんな時こそ、先に触れた「より食いそうなエサ」へと心が動くのも、私に限ったことではないだろう。
 クロダイ釣り=昼の前打ちボタエビガニカラス貝。この思考経路は堤防のクロダイ釣りスタイルを知るための入門としては、相手を知る意味も含め非常に理にかなった公式ではある。ただし、良い意味での「こだわり」なら結構だが、それ以外は外道というような考えなら捨てた方が賢明である。なぜならエサはクロダイが決めるものであり、それをその時期、時間、海況に合わせて選択するのが知恵を持った釣り人だからである。100%の合点は不可能にしろ、よりべストな状況に近づけ確率を上げることはできるはずだ。エサに対する私個人の主観を述べさせてもらい恐縮だが、それでは具体的にどのように選択するかを考えてみよう。
 クロダイがオールシーズン狙えるターゲットであることは前章で述べたが、一般的な名古屋釣法で効率の良い釣果を上げることのできるシーズンは、やはりなんといっても春〜秋にかけてが定説である。それはこの魚の生態から成り立つゲームであり致し方のないところだ。アイナメメバルは秋〜春、でもクロダイはキスなどと同様に夏の魚なのである。従ってシーズンを盛期に紋って話をすすめてみる。
 さて、私がクロダイ釣りでエサを選ぶ際、常に2つの考えを持って臨むことは冒頭に書いたが、実はこれにはれっきとした裏付けがあるのだ。この裏付けこそが今回のテーマの核心にせまるものである。文章で説明するとなると常に言いたいことの半分位しか表現できず不安であるが、なんとか書いてみようと思う。

 


 まず使用可能な代表的エサを上げ、それを硬さを基準に識別したのが表1である。名古屋近郊ではどのエサも比較的入手しやすく、誰もが使用しているもので、私自身もこのすべてのエサでクロダイを釣ったことがある。

 

 これらの中よりエサ選びをするために次の2点を考える。
1.クロダイの生態によるエサ選び
2.環境によるエサ選び

 

生態に適合したエサ選び

 1はクロダイ自体の食生活を解読することにより、誰でも簡単に判断できる。釣ったクロダイの胃袋の中身を調べれば一目瞭然、カラス貝やフジツボガニ類がほとんどだ(地域によっては、例えば浜名湖や尾鷲ではアサリが入っていることもあり、また冬にはカラスよりミジや海藻類を食っていることもある)。これらのものは当然クロダイのエサになり得るものであり、どれも区別なくメインのエサと考えることができる。そしてこれらのエサの共通点が存在することに気がつく。それはこれらのエサがクロダイが捕食する時に常に、しかも大量に存在することである。このことからもこれらのエサが自然界でのクロダイの主食になっていることが裏付けられる。いわば大自然の法則の一片を垣間見るようで、内因的な立場から考えたエサ選びである。そして、クロダイがこれらのエサを捕食中に(例えばカラス貝を捕食中に)、チョロッと姿を現わしたイシゴカイを食ったり、逃げたエビを追いかけて食ったり、人間で言うオカズ的な立場のエサが存在することも知る。だがこれらのエサにはクロダイ(クロダイに限らずあらゆる魚)に捕食されないための防衛手段が備わっており(その意味ではガニ類も同様)、これらのエサで胃袋を満タンにするのはクロダイにとってもやっかいであろうし、それよりも目の前のカラス貝を齧った方が手っ取り早いのだろう。いずれにしてもエビやガニ、はたまた虫類(胃袋の中では消化されドロドロ)で胃袋が満タンのクロダイは多くない。ガニやエビを多く食っている時は、そのフィールドでそれらのエサが大量発生したり、あまりカラス貝が無かったりしたことに起因する場合が考えられ、そのような場合は少なくともそのフィールドでの主食と考える方がよいだろう。これらのエサをリストアップすると、冒頭にも述べたがおよそ考えられるすべてのエサが対象となる。クロダイは悪食であり好奇心も強く、どれが食えるエサなのかをよく知っているようだ。

 

環境による工サ選び

 では、なぜクロダイ釣り(名古屋釣法)をする場合、エサ選びが必要なのか?なんでも食うのであれば何を使用しようがその日の気分でよいではないか?!思えばこの釣りほどエサをとっかえひっかえ、アレが良いコレが良い、はたまたエサの大小まで含め釣り人を悩ますジャンルも少ないのではないか。私もそのジャンルにどっぷりと浸かったひとりではあるが、結論を言ってしまえば基本的には、昼の前打ちの場合にはカラス貝、岩ガニ、エビ、そして時期によってはゼンボやミジ、カメジャコ。夜はカメジャコか岩ガニ、そしてエビ、青イソメ。一般的にはこのパターンで必ずクロダイは釣れると信じている。選択するにも多すぎるエサの種類! その中より類似性のあるものは(カラス員とミジ、岩ガニと堤防ガニ、カメジャコとボケ、青イソメとミノムシなど)、平均してより実績のあるもの、そしてなによりも入手しやすさを決め手に選ぶ。シーズン中は特別な例を除き、これで十分こと足りると思ってよいだろう。結果的にはこれで随分紋られたわだが、これらのエサの中からさらに選択することになる。ここからが2の環境によるエサ選びとなるわけで、フィールドや昼夜の違い、そしてエサ取り対策も考えねばならないのだ。
 例を挙げて説明しよう。カニはクロダイ釣りには欠かせない代表的なエサであるが、仮に岩ガニのみを持って出掛けたとする。朝からはじめて入れアタリである。が、正体はカサゴフグ、そしてベラなどエサ取りの面々、昼過ぎにはエサが切れ、挙句に釣果はかろうじて拾った1匹だけ。この釣り人は、こんな状態ならカメジャコやムシ類などもっての他、カラス貝を持ってくれば良かったと思うことだろう。その釣り場は釣友によって爆釣が確認されており、彼は2回目の釣行をカラス貝持参で挑んだ。前回同様朝から釣りはじめるが、期待とは裏腹にまったくアタリなし。それもそのはず海況はスケスケのべタナギである。彼は心掛けが悪いのを棚に上げ、天を罵る始末である。釣友の爆釣は海況が絶好であり、自分の釣行計画のお粗末加減に気付いていない。
 再々度のチャレンジ。今度はさすがに天気予報とにらめっこである。良さそうな海況時を見計らって出掛ける。同じく朝よりサオを出し、思惑どおり入れアタリであるがバラシの連続だ。それでも日没までには2ケタ釣果をキープでき、帰りにはカラス貝の針オモリ前打ちに多いバラシの反省と次回の釣行計画を練る。
 しかし今後の天気予報では、休みの日は海況が思わしくなさそうだ。そこでいつもより少し早めに出掛け、暗いうちからサオを出すことにした。カメジャコと青イソメ、そしてカラス貝を持って夜中からサオを出す。もちろん、暗いうちはカメジャコか青イソメで釣る。エサ取りにカサゴやグレなどが釣れるが、日中の凄まじさに比べれば苦になるほどではない。辺りが白んでくる頃より、あの憎きフグの猛攻に遭いエサをカラス貝に替える。途端にアタリはクロダイのものとなり、すっかり明るくなった頃には2回目同様釣れなくなってしまった。海況も2回目同様スケスケ、べタナギである。それでも釣果は明るくなるまでの3時間で掛けたクロダイのアタリ9回のうち8枚をとり、朝一番の好ジアイにカラス貝で3枚追加し計11枚。結局3回目の好条件時と同等の釣果をキープでき、しかも昼過ぎには家に帰ったものだから家族が驚いている。釣行計画を練り直して正解だったのである。この時も今までどおり朝から釣っていたのでは、きっと貧果だったであろう。
 このシミュレーションを解説すると、まず名古屋港などの一部のフィールドの延長としてのみ考え、他のフィールドのエサ取りの質に対する気配りを怠ったが故の失敗がある。エサ取り対策としては昼夜を問わず硬いエサが基本。昼夜を問わずと述べたが、それでは夜もカラス貝が良いのか?答えは△である。クロダイは全天候型の魚で捕食活動も昼夜を問わないが、その活動は昼と夜では異なるようだ。それはクロダイが捕食の際、何をレーダーにしているかによって決まると思われるからだ。クロダイの目前までエサを持っていく名古屋釣法の性質上、昼は視覚を中心に嗅覚、聴覚(海中を伝わる振動)で、夜はそれらの順番が異なり聴覚や嗅覚が主になり、視覚はエビの目の光やムシ類の発光など以外識別できないと考えると説明がつく。事実カラス貝やフジツボは夜釣りのエサとしては、昼のそれに比べると有効度の差は歴然だ。そしてカラス貝やフジツボなどの自然界での存在のあり方は、それ自体では移動することも隠れることもできないので整然と並んでいるだけである。このことからもクロダイはこれらのエサをよく知っていて目で判断し捕食すると言える。よって夜の釣りではこれら以外のエサで、なおかつ硬めのエサがエサ盗りに有効と考えられるのだ。グレやセイゴなどがエサ盗りの場合は、ムシ類よりもカメジャコやエビ、さらにはガニ類が良いのである。さらに言えば同一のエサでも大小を考慮し、当然大きなエサは小魚に強い。これはまさに単純な例ですべてが当てはまるわけではないが、常にこのような考えを持ち、少なくとも自分の使用するエサに信念を持つことはできる。そして、確率アップのために情報が必要なことは言うまでもない。以上のように2は外因的要素に影響されるエサ選びと考え、釣行するフィールドのエサ取りの質や時間帯によって大きく左右される。

 

シーズンを通してのエサ選び

 盛期のエサ選びは前述したが、年間を通して考えた場合にも選択が必要である。クロダイが主食として捕食するカラス貝は、毎年早春より稚貝が付着しはじめ水温の上昇とともに成長し、夏をピークにガニ、ムシ類も活性づく。この現象は極く沿岸で起こることであり、すなわち名古屋釣法のステージが確立するわけである。そしてクロダイはそれらのエサが存在することを知っていて、ジアイになると身の危険を感じつつも接岸し、その時期によって最も食べやすいエサを獲ると考えられる。それらのことを考えながらエサの選択をすれば、おのずと答は出てくる。盛期には十分クロダイも接岸し、ちょうどその頃にはカラス貝も食べ頃サイズとなっていて、当然主力エサとなる。だが早期にはフィールドに見られるとおりの稚貝を用いて、ダンゴ(カラス貝の稚貝の塊)を使用するのが定説。つまり、その時期にクロダイが食っているであろうエサを選択することが必要なのだ。その他のエサはシーズンを通して夜のカラス貝、昼の青イソメが確立が低いと言うか、もっと食うエサがあるってことで認識してほしい。これらの選択は説明したつもりであるが、もし海にクロダイしかいなければエサの選択に悩むこともないのだが:。
 表2はシーズン別のエサの移り変わりを我々の名古屋釣法の実績から作ったものたが、フィールドや釣り方の違いを含めれば可能性は全てにある。特にオキアミなどはウキフカセ釣りで年中使われている。勘違いしないように見てほしい。


 さて、以上の知識と、それに基づく自分なりの実績も作ることのできた釣り人が、急に迷路に入ることがある。それまでカラス貝でコンスタントに釣れていたのに、急に釣れなくなったとする。それでも横で釣っている釣り人には時折クロダイが掛かるのだ。なにやら自っばいエサを使っているようだ。実はこのエサの正体はゼンボ(フジツボ)やパイプであり、前述で較ったエサ以外のものである。いつも同じように見える海も、気温や河川の影響を受け刻々と変化しているのである。この事実はクロダイたちのメインデッシュテーブルに悪影響を及ぼしたり(カラス貝の死減)、活動するタナをかえることもあるのだ。
 通常このような時に一時的なエサがわりが起きることがある。一般的には梅雨時と夏の照り込み時に多く、全体的に見ても釣果は低下するもの。でもそんな時でも釣果を得るために威力を発揮するのが、これらやイソギンチャクヘラヘラなどであり、いずれもカラス貝より下層にも棲息することが海況悪化に影響され難いことを裏付けている。
 このエサがわりは生活および工場排水の多い都市近郊のフィールドに多く、また食うタナに直接響くため、特にポタ釣りの釣果を直撃するようだ。底を釣る前打ちでは思い切ってエビやカメジャコなどを使用するのもひとつの手である(水質悪化は根魚類の食いを落とすが、クロダイは比較的強いようだ)。なお、このエサがわりは水質のよいフィールドや、特に外洋に面したフィールドではまずないと考えてよいだろう。
 以上が全てではなく、親サイズ専門とか嬉しい外道も釣るためのエサの選択なんてのもあるのだが、重要なことは傾向をつかみ常に何を食べているかを知る、胃袋の中身そしてそのエサの量を調べることである。胃袋がカラッポの時もあり、このような時は柔らかめのエサ、特にムシ類での夜釣りに分がある。またエサにはカラス≧ミジ、ミノ虫≧青イソメ、岩ガニ≧堤防ガニのように、似かよったものには食いに対する不等号がある。そんなパターンをいくつか知ることも大切だ。それには釣行を重ね、よく釣っている人に聞くことも近道だ。
 エサをかえたが故に釣れなくなった場合に、エサのせいではなくその釣り人の釣り方に原因がある場合もある。そういう意味では自分の得意なエサで通し、得意なアタリをとるようにするのもよいだろう。次章はアタリをより多く出すための誘いについて解説する。

2017年12月

1匹でも多く釣るための卓上フィッシング

 

第3章 誘いについて

 

 手軽な釣り方でクロダイを狙うとなれば、名古屋釣法が一番である。身近な堤防が土俵であり、タックルも他の釣りに比べ非常にシンプルである。また、この釣法で堤防に寄っているクロダイ以外の他魚もすべて狙うことができ、言いかえれば堤防釣りの基本釣法として今さら「前打ち」と特別視することもない気もする。
ボタの落し込み釣りは別として、そもそも前打ち釣法たるものは、全国に普及しているウキを使わないフカセ釣りミャク釣り、感釣りの部類に属し、名古屋では私が小学生の頃に叔父に教えてもらった、どににでもある釣りの発展とみている。さすがに今のような針オモリは誰も使用していなかったが、当時エサのビニール袋のひも(中空の赤いビニールパイプ)を切って目印にしていた釣り人がいた。今にして思えば、今日の日印の原形だったような気がする。
 我々が今になって名古屋釣法をひっさげ、その釣果を誇れるのも先人たちの探究心と努力あっての賜であり、たかが釣りの中にも地域色がにじみ出る文化の存在を垣間見ることができる。名古屋釣法は読んで字のごとく名古屋を中心に広まり、その舞台となった海域(四日市港、名古屋港、衣浦など)は内海であり、大都市の生活排水及び工業排水や、また近くの大河川の濁りの影響を受けやすい。当然、クロダイの食いは良く、マキエやダンゴなど必要なくナチュラルな釣法として進歩した。そして、それはクロダイの食い気を促すことを最重要視し、釣り人側でいかにクロダイとの出逢いを多くすることができるかを焦点とする釣法として確立されたと言ってもよい。事実、我々が遠征釣行に出掛けると、同条件であれば地元の釣法に勝るとも劣らぬ釣果を得ることができるし、好条件時には大差がついてしまうことも多い。
 この章ではその名古屋釣法(前打ち)の「より多くアタリを出すための手段の核である誘いについてフィールド別に当会なりの解説をしてみよう。

 

石積み

フィールドの構造上軽めのオモリで引きずる誘いが効果的

 石積み堤防はその構造上、横への誘いである引きずりが最も適していると私は考える。前へ打ったエサを潮に乗せながら扇状に手前へ移動させたり、潮上に打って潮の流れと平行に引きずるのが基本となる。(図1)

 石積みは波打ち際からかけ上がりを形成しているため、私は前から足元までをまず扇状に引きずりアタリを拾う。これでクロダイがどの辺にいるかを探り、その時のポイントの遠近を見極めるためだ。これで食う(アタリが出る9ポイントが絞られれば、平行移動の誘いに切りかえて集中してそのラインを攻める。
 サオの長さにもよるが、ポイントが極めて近い場合は釣座を後退させ、その逆の場合は扇の誘いの@〜Bまでを集中的に攻める。この場合のエサを引きずるスピードをやや遅くするか、着底後エサを跳ね上げ再度着底させるような誘いも有効である。また、スポット的に探れるために打ち込み回数も増え、ポイント移動も早くなり、ひいては魚との出逢いも多くなる。

石積みは条件次第で足元からポイントとなる好釣り場

 さて、アタリの出方であるが、これはそのスタイルによって異なってくる。同じエサを使用していても、イトの張り具合やオモリの大きさ、そして食わせた時点によってそれぞれ独特のアタリが伝わってくるものだ。そして、一般にはコツンとかモゾモゾ、時にドカンなどと個人の主観による表現が多いアタリが、いずれもクロダイがエサを食ったことの伝達(アタリ)であるのを間違いないとすれば、いつ食うのかが問題だ。再度図1を見ていただこう。誘い方は扇も平行も一定の引きずりでないことを、@〜Dまでの番号による区切りで表わしている。クロダイが食ってくるのは、大方@の着底寸前と@〜A、A〜Bの動作を一時止める直前直後に集中する。釣りばかりでなく何事も誘いの後は相手の返答を待つ余裕が必要である。決して無理強いしてはダメ。クロダイも例にもれず照れ屋であり、返答しようにも誘いの連続では、エサを食う意思表示ができぬ間にエサが勝手に通り過ぎてしまうこともあるに違いない。アタリの取り方は穂先を筆頭にイトフケで見ることもできるが、オモリの大小によっても大きく左右される。石積みは一般に水深がなく前へ打ってもせいぜい4?5mまで、オモリはわりと軽めのものが使用できる。ハリスの太さにもよるが、仮に1号ハリスを使うとするとジンタン4号位から使用し、穂先にオモリとエサの重さを感じながら落とし込んでいく。だが、前打ちの場合、極端にオモリが軽いと風の強い時などにはイトフケが逆効果になり、時としてエサが狙ったポイントに着底せず、岸へ寄ったり宙に浮いたままなんてこともある。対処法としてはオモリを重くして落し込むのだが、極端に重いオモリを使用するとどうしても食いが気になるという人は、いっそ穂先による把握は無視して、振り込んだら竿を寝かせイトフケにのみ神経を集中するのも手である。この場合、大きく出ているイトフケも、魚が食って走る場合のアタリが多いため、誰でもその変化に気づくものだ。穂先に仕掛けの自重を感じながら落し込む場合でも、その時の最適な軽いオモリを使用するため当然イトフケは出るが、イトフケにアタリが出ると同時に必ず穂先にも変化が感じられる。またそのような穂先を使用している。また、この落とし方には、重いオモリでも釣り人側で故意に穂先に重みを乗せ、ブレーキをかけながら落し込むことができる利点があり、クロダイの食いにもっとも影響のある落下スピードの調整が可能だ。特にウネリの大きなフィールドでは有効である。
 なお、同じ引きずりの誘いでもその角度をかえることが有効な場合もある。底の石の大きさと並び方を考慮しその表面をなめるのもよいし、石が細かい時や粗い場合はやや上方へ持ち上げ、再度穂先でプレーキをかけながら落下の誘いとするのも手である

 

堤防

ひとつの誘いにこだわらずあの手この手で収略する

 ケーソン構造の堤防は全国どこでもあり、もっともポピュラーなフィールドだが、水深の違いが千差万別であり、それぞれ誘いにも工夫が必要と思う。名古屋釣法では目印を使用するいわゆるポタ釣りのメインステージであるとともに、前打ちでもボタ底からサオ下、さらに前のかけ上がりと幅広く探れる釣り場である。
 さて、名古屋港高潮防波堤などのように比較的水深がない場合は、先の石積みと同様の攻め方に、視線がかなり高い位置にくることをプラスして考え、長ザオ(4.5m以上)による広範囲にわたる落下重視の誘いも可能だ。石積みでポイントが近い時のそれに似ており、引きずりとともにやや持ち上げて横方向へ移動しながら再着底させる誘いも有効である。逆に水深が深い場合(10m以上)は、石積みで言うところの引きずりはやり難いことが多い。潮の流れがミチイトに及ばす影響が大きく、引きずったつもりでもエサが少々浮いてしまっている場合が多くなるためだ。繊細がモットーの引きずりが、「はがして飛ばして」の誘いになってしまうようだ。もちろん、それでもポタ底を中心に堤防に沿って移動することにより連続した誘いと食わせのパターンを作る事ができる。アタリの無い場合はその状態から大きく持ち上げ、ポタの最深部中心に攻めたり、そのまま前へ出すのも効果的だ。
 堤防での釣り人からのサオ裁きによるエサの移動は、サオを中心とした場合に前から手前、そして左右の3方向の組み合わせによって行なわれるが、前?超前のように沖方向への誘いが可能な仕掛け(目印仕掛け以外で)もあるのでこれも紹介しよう。堤防でのグレなどはこの仕掛けで爆釣する事もあり、当然クロダイにも実績がある。ここでははっきりと分かっていることのみ解説しよう。

 まず仕掛けであるが、図2の通り一般のウキフカセ釣りと変わらない。ではなぜ前打ちなのか?極小の中通しウキを用いるのだが、このウキはガン玉4号で目印のようにジワジワと沈むものだ。沈まなければ底まで探る事ができない。ウキは大きさが2cm位の極小と言えど、仕掛け全体の重心にもなり、一般の前打ち仕掛けよりは重量があり超前も探りやすい事を利用し、やや遠くへ振り込むこともできる。エサがゆっくり落下し、ウキが潮の流れに乗り、仕掛けがなじんで中層で食えばイトフケにアタリが出る。ミチイトにはやや目立つウキ止めを付けてこれを見る。

 図3を見ていただきたい。ウキが沈み出したら、目で追えるまでその動きを捕える(A)、ウキがまったく見えなくなった時に、B〜Cの様にエサが底を沖に向かって這う事で誘いになると思われる。条件としては図3の様に上層と下層の流れに差が出る時が理想であり、最終的にはDまで探る。特にグレやメバル(ウキのかわりにケミホタルをつける)など中層でも食ってくる魚に有効であり、Bから先の誘いは一般のサオ掘きでは難かしい沖へ向けての誘いが可能である。現在主流の磯釣りスタイルに似ているが、30年以上前に堤防でやっていたスタイルだ。ま、超前打ち以上の沖まで探る事が可能で、オモリも比較的軽いため食いもよく、アタリは穂先の押さえ込みが多い。ただし欠点があり、堤防への当たり潮の場合はクロダイを狙う限りまったく無意味だと思う。潮の払い出しポイントでこそ、この釣法の真価は発揮されると思う。なおリールにっいてはフライリールが一番。この釣りはウキの動きをミチイトによって操る事がすべてと言って良いほどミチイトのしなやかさが重要なため、イト癖のつき難いフライリールが良いだろう。

 

テトラ

無数のポイントをブレーキ釣法で狙い打つ

テトラはその構造上、クロダイに限らず全ての魚の絶好の寄り所である。いたる所にエサが有り、条件の良い時はどこで食ってくるか分からないほどだ。すなわち中層で食う確率も高く、テトラポットひとつひとつがそれぞれポタとトコを形成し、前も横も無数にあるポイントはまさしく魚のアパートと呼べる。

 誘いとしては堤防の時と同じく落下による誘い、図4の(@〜A、B〜C、F〜G)と小刻みな横への講いと(A〜B、C〜D〜E、G〜H)に大別し、前者をテトラのポタと見れば後者はトコを意味する。ただしテトラの底はひとつではなく、最深部の穴まで含めれば数段にわたって存在し、ポタとトコの連続である。まさしくどこで食ってくるか分からない。濁りなどの好条件時には、かなり上のテトラ際で食うが、潮が違んだ最悪な時でもそこそこ釣る事が可能なのもテトラの特徴である。クロダイが隠れる場所の多いテトラでは、潮がスケスケであっても釣り人からは確認できないテトラの裏や前の沈みテトラ際を攻める事によりアタリを出す事が可能である。

 エサの落とし方は、やはり穂先に仕掛けの重さを感じながら行なうのが私は一番だと思う。落下スピードを調節しながら止まった所が第一のトコとなり、それから横にずらして再度落下させテトラのボタを見つけるパターンが良い。アタリがないままこの動作を続ければ最深部(E、H)に到達するが、ここで食った超親を獲る事はかなり難しい。図4のB〜C、Dの辺りでアタリを待つほうが良いかも知れない。
 この誘い(落下)では、アタリは主に穂先で取る場合が多いが、オモリを軽くして目印やイトフケで取る事も可能だ。しかしこの誘いでは、ずばりイトフケが多く出る。名古屋港や大阪港など内湾の海では私も行なうが、外洋のウネリの強くしかも海藻が生い茂ったテトラでは根掛かりの連続であまりお勧めできない。しかもエサの位置の把握がし難くなるため上層しか探れず、クロダイが浮いてこなければお手上げになる可能性も高い。このような場合は思いきってオモリを3B〜4Bと大きくし、海藻の合い間を縫って穂先に乗せプレーキをかけながら落とし込んで、狙ったポイントを直撃する誘いが有効と考える。テトラはBくらいのオモリから使用するのが通例パターンであるが、ウネリの有無など諸条件によって、同じテトラでもまったく異なる表情を見せるフィールドであることをよく把握しておきたいものだ。さらに食い込みの良さとか、バランといった問題を考慮すると、オモリの重さだけでなく、打ち方にまでもっとも苦労させられるフィールドである。
 次章はクロダイの食い込みにもっとも影響を及ばすオモリの重さ、打ち方などについて解説する。

2017年12月

1匹でも多く釣るための卓上フィッシング

 

第4章 オモリについて

 


 前章のテーマ御理解いただけたであろうか?名古屋釣法のよりアタリを多く出すための基本スタイルとして解説したつもりであるが、重要な事は自分がアタリを取りやすくするスタイルを考え持つことである。また、基本はあくまで基本であり、そこにちょっとしたアクセントをつける事により一層アタリが出る事も多い。一例を上げると扇状の誘いの時など、上図のように故意に流れと逆方向にサオを持って行くと、エサが浮き上がってそれが誘いになりCでアタる場合も多い。とにかく自分で得意のパターンを作る事が釣果アップにつながる最良の方法である。前章の続きはこれくらいにして第4章はオモリについてだ。

 

 今回のテーマはオモリの必要性、約り場での使い分けを考えてみる。前打ちで使用するオモリは千差万別、極論を語れば完全フカセから使用するサオにダメージをあたえないまでのオモリという事になる。ターゲットの違いやフィールドの立地条件、そしてエサ盗り対策などにより使い分けるわけだ。ではなぜオモリが必要なのかを考えてみる。第一に考えられる役割はエサを沈める事である。ナチュラルをモットーとする名古屋釣法の場合、エサの落下のみで考えるとオモリは無いほうがより自然になるが、実釣時にはいろいろな弊害が起り得る。その辺りを考えてみる。

潮流による弊害を考える

 まず潮流による弊害が考えられる。潮流が速いとエサは浮いてしまい、特にトコを攻める前打ちでは、これをキープさせる目的でオモリを打つ。オモリの重さは各フィールドによって、潮の流れや水深、そして使用するエサ及びハリスの太さによって異なってくるが、代表的なフィールドでのそれを紹介しよう。

伊勢湾高潮防波堤(知多堤中央堤)の場合

 名古屋港知多堤及び中央堤先端では、ハリス1号にてカラス貝使用時にはBを、ガニ使用時には2B%を基準にして、その日の潮流に合わせトコをキープしながら流せれば、必ずクロダイは釣れると言ってよいだろう。エサが浮きすぎたり、ハリスが先行しすぎてうまく流せない人(サオ裁きが悪い)は根掛かりとその時の穂先とエサの角度を読み、サオ闘きを練習すればよい。無理に軽いオモリを使用せず4Bや6Bを使用すればよく分かるはずだ。先端では不慣れな人が入るのをいい顔しない常連の釣り人も居るが最初は誰でも一緒なのである。寛大に構えたいものだ。

水深のあるフィールドの場合

 水深のある(10m以上)フィールドでは、先の潮の流れにプラスしてトコにエサが沈むまでの時間が間題になってくる。比較的水深のある堤防等では中央堤両先端のような強い流れは無い事が多いが、エサが沈むまでの時間が手返しのロスになる事を考えると、やや重めのオモリを使用する場合が多い。すなわちクロダィの口までエサを運ぶ役割もオモリにはあるのだ。当然この場合、クロダイに異和感をあたえ難いオモリを考える事は言うまでも無い。ここでもエサによりオモリの大きさは異なってくるが、カラス貝や虫エサでガン玉1号から、ガニやエビでB、カメジャコで2B位がスタートの基準となる。ただし、ここではエサ取りの対策が無視されている。フグウマズラがいっばいの海でガニのBで落とし込んでいたのでは、底に着くまでにエサはもたない。そのような場合はもちろんオモリをアップしトコまで一気に沈め、手返しを早くするかエサ替えする事によって切り抜けたい。また外洋に面する堤防に多いのだが、エサの落下スピードが速いと、エサ盗りはよりそのエサについて活性付く場合がある。特にグレなどを前打ちで狙う場合は、そのエサの質にもよるが一気に沈めるほどエサ取りの餌食になるようだ。一見矛盾するがメリット、デメリットは何事にもついてまわるものであり、この場合こと前打ちでクロダイを狙うのだから、手返しの早さとエサ替えによるメリットが勝る事が多い。
 水深があり潮流も強いフィールドでは、名古屋釣法の常識を超えるオモリの選択も必要になってくる。2枚潮の多発する堤防でも同様な事が言え、尾鷲港など水深が4〜5m位までならば通常の前打ちで十分通用するが、10m前後以上ではアユ玉の1号や2号、さらには中通しナツメオモリの5号以上位を使用する場合もある。いずれにしても自分が使用するオモリでトコを把握できる事が重要である。トコが把握できれば誘いの動作に移る事ができ、アタリを捕える事が可能だからだ。

水深のないフィールドの場合

 フィールド別にオモリの選択を述べてきたが、最後に水深のない場合を考えてみる。ここで言う水深の有無はクロダイの食ってくる位置の事であり、石積みとテトラはその意味において前打ちで食ってくるクロダイのタナが不確実である。前章でも説明したが、石積みは足元よりかけ上がりを形成しサオ下でも比較的水深が無い。テトラはそれぞれのテトラ本体のへチ、頭、トコとどこでも食う可能性を秘めており、まさしく堤防のポタ同様タナは一定はない。これらのフィールドでは先に説明したフィールドでのトコオンリーの考えは捨て、水深による落下時間のロスは逆にアタリを多く出すメリットと考え方を変えた方がよいだろう。
 石積みでは流れが極端に強い場合を除き、カラス貝等のエサならオモリ無しでもかけ上がりをキープできる(大同石積等)。また流れの強い場合でもB以上を使用する事は稀である。もともと石積みは3.6mクラスの短ザオで探ると最も効率の良いフィールドであり、潮流が強くエサが横へ流れてしまうような時こそ今主流の長ザオ(5.3mクラス)でサオ下を狙い切り抜けるのが手だ。水深がない事は透けていれば、魚から釣り人が丸見えということで、こんなフィールドではよりナチュラルな細ハリスと軽いオモリが適しているというわけだ。
 さてテトラも同様に軽いオモリが適しているが選択の幅は広く、重いオモリがよい場合もある。軽いオモリはまずテトラの上層のクロダイに対してよりナチュラルに誘いを出する為に必要であり、ひと通り上層のクロダイを釣った後とか、ジアイ以外に攻める場合、またウネリが強く沖へ払い出てしまう時などは、それぞれクロダイの餌付く場所までエサを送り届ける意味で、より沈みの早い重いオモリが必要になってくる。

 そしてオモリの重さは使用するハリスの太さにも影響される事を忘れてはならない。例を上げれば、1号ハリスにガン玉1号オモリの組み合わせで大きなウネリの中を釣る場合、ハリスを2号にすると同様の誘いを行うのに、私の場合オモリは3B位が必要となる。テトラでは障害物も多く、クロダイを食わせても根ズレや、やりとりの未熟により、ハリス切れのパラシに合いやすい。好条件時やジアイならともかく、沈みテトラの裏や穴でしかアタらない時の方が多いのである。このようにテトラフィールドは、一般的に言われるスケスケの悪条件時でもそこそこアタリを出す事のできるフィールドではあるが、その形体からも前記の様な所でアタることを考慮し、当然やや太めのハリスを使用するほうがバラす確率が低く、このハリスをウネリなどの影響に左右され難く操作し、テトラを擦る技術が必要。言わば、釣り人側で人工的にナチュラルにエサを演出させる為に、重いオモリが必要になるわけだ。重いオモリは特に外洋のテトラフィールドで有効であるが、ウネリの少ない(四日市霞ヶ浦テトラ帯大阪南港バラ石等)フィールドではそのままオモリを軽くすればよいことになる。また外洋テトラフィールドでも濁りなどの入った好条件時には、ウネリが大きくてもガン玉2号程度の軽いオモリでフワフワさせて飛びつくクロダイを狙う事が可能だ。(三軒屋テトラ帯や福田港、久能海岸テトラ帯など)
 以上のように、テトラではその時の海況に応じ、クロダイを食わすポイントを考え、オモリを選択する必要がある。

 

時と場合によってハリ上に打つのも効果的

 ここまでの説明は、主にカラス貝とガニを使用した針オモリについてのものだが、それ以外のオモリの打ち方についても述べてみたい。例えばテトラでの釣りで、海況が悪く沈みテトラの影や穴でしかクロダイがアタらないとしよう。ウネリが大きいので軽いォモリでは思うようにエサが操作できず、前記のように2B以上を使用しハリオモリで攻めるわけだが、アタっても貝のみ割られたり、乗ってもハリ外れの連続なんて事がよくある。針オモリに付いたクロダイの噛み痕は凄まじく、餌付いている事は間違いないのだ。このような時の対処法としては、貝に対して故意に針先を大きく出し、アタリと同時の掛けアワセ(シャクリではない)などの方法もあるが、オモリの打ち方を変える事によってアタリの出方が異なり、ハリ外れを少なくする事もできるのである。針オモリのダイレクト感はすばらしいメリットだが、アワセを食らわす釣り人のレスポンスとにギャップが生じる場合に、このバラシは多くなると思われる。一般の前打ちで使用する針オモリでクロダイに対して異和感の少ない場合(つまり、食い気があるような場合)は、エサがクロダイの口の中にある時間も少々長いのだろうか、ややアワセが遅れてもガッチリ針掛かりする事も多いが、3B〜4B以上の針オモリではやや異和感がありすぎて、クロダイはエサを噛んでもすぐ吐き出してしまうようだ。この差がバラシとなって表われるのでは考える。よって時々わざと針オモリをやめ、ハリ上数cmの所にガン玉を打つ。すると針オモリの時にはコツン、コツンと小刻みに出たアタリがコン、ギューンに変わる傾向がある。静岡県中田島三軒屋などウネリの大きなテトラ帯では、1991年にこの方法でバラシがかなり減った経験から、翌年も行ったひとつの方法である。このオモリの打ち方は、もともとカメジャコやエビ、虫エサ使用時の打ち方であるが、時と場合によってはカラス貝やガニでも通用する方法である。余談ではあるが中京地区以外の方々のクロダイ釣りのオモリの打ち方はそのものずばりであった。
 以上、当たり前の事をよくもまあ長々と書けるものだと癖易してしまうが、オモリの打ち方、大きさの選択は、クロダイまでエサを運ぶ有効度はもとより、アタリの出方、食い込みの優劣など、それ自体で直接釣果にひびくタックルバランスのひとつである事は確実である。重要なだけに前章のテーマ同様経験がものを言う大事な要素だ。読者諸兄御自身がそのオモリを選択する時、常にエサがどこにどのような状態で、クロダイを誘っているのか分かるようなもののうち、最軽量のオモリが名古屋約法に適していることは周知の事実だ。釣行を積ね、1枚々釣った実績は必ずアナタの信念に変わります。
 次章はバラシを少なくする為のタックルバランスについて解説する。

2017年12月


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